鋼材の質問・疑問

鋼材に関する「質問」「疑問」を承ります

鋼材に関する「質問」「疑問」に、業界の専門家が責任をもってお答えいたします。鉄鋼業界には、これまで培われてきた、有益な情報やノウハウがあります。それをQA方式によって公開することで、業界の枠を超え、さまざまな分野で鋼材が活かされるきっかけになればと願っています。

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これまでのご質問&回答

今まで頂いたご質問とこちらの回答の一部を掲載しました。

「SUS304」とはどのような意味でしょうか?
SS400は、“Steel Structure 400”で鋼構造、最低引張値であることはわかりましたが・・・
「SUS304」とは・・・ステンレス鋼の鋼種記号です。

SUSとは、Steel Use Stainlessの略です。
※Stainlessとは錆(さび)を生じないという意味で、不銹鋼とも呼ぶ
304とは特にSS400のような意味はありません。単なる記号と考えてください。

鋼種記号については、以前(過去10数年間)はSUS27(18-8標準鋼)、SUS24(18クロム標準鋼)、SUS51(13クロム標準鋼)というように日本独自の方式を採用してきましたが、昭和47年5月に記号体系の抜本的な改正を行い、国際的に広く実用されているAISIのタイプナンバー(SAEおよびASTMとも共通)方式を採用しました。

クロム単味の「ステンレス鋼(クロム不銹鋼)」と「クロム・ニッケル・ステンレス鋼」とがあり、後者は18%Cr-8%Niの“18-8ステンレス鋼”が代表的な鋼種です。これはSUS304と規定されています。

尚、鋼組織の形態からオーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系の5種類に分類されています。
【参考】SUS304の化学成分(オーステナイト系)
種類の記号 旧記号 C(%) Ni(%) Cr(%) その他(%)
SUS 304 27 0.08以下 8.00〜10.50 18.00〜20.00  
H14.06.14
AISI規格(アメリカ鉄鋼協会/American Iron and Steel Institure)では、全て数字で示されています。
200代:クロム・ニッケル・マンガン系(オーステナイト系)
300代:クロム・ニッケル系 (オーステナイト系)
400代:クロム系(マルテンサイト系及びフェライト系)
500代:クロム系(低クロム耐熱鋼)
冷間圧延鋼板の規格について
DIN1623Part1(1983)によるとRRSt13という鋼板で、新しいDIN EN10027-2による分類では1.0347というのが材料番号です。これがJIS規格ではどの材料に相当しますか?
JIS規格では、下記に相当するものと思われます。

現在、ご使用中のDIN規格から判断いたしますと、非時効タイプ即ち鉄鋼メーカー出荷後6ヶ月間はストレッチャー・ストーンの発生しないことを保証する鋼材です。JIS規格では「SPCE」の非時効性の指定、即ち、この規格の末尾に「N」をつけて「SPCEN」となります。従って、鋼材を発注する場合は、「規格SPCEの非時効性の指定」と明記しておく必要があります。
アブレーションについて
ジンク材めっき表面に黒点が発生しました。一般的にはどういった部類の不良になりますか?原因、対策、品質的影響などについて知りたい。
現物を見ていないのでアブレーションの程度が分かりませんが一般的な見解をご連絡致します。

<まえがき>
長距離輸送された亜鉛めっき鋼板の表面に稀に直径1~5mmの黒点が発生することがあります。その発生頻度は少なく、初めて見る人は製鉄所での欠陥、例えば異物付着或いは不めっきではないかと指摘される場合がありますが、これが「アブレーション」という現象です。

<原因について>
輸送途中での振動及び衝撃などで亜鉛めっき鋼板相互が摩擦することによって発生する。梱包されたコイルやシートは輸送中では常に振動や衝撃を受けており、その為に鋼板の各層の間では僅かながらスリップが発生している。めっき表面の凸部が優先的に黒変色する。黒点の発生は散砂状、帯状になったりするが、向かい合った2枚の鋼板の相対する表面にほぼ同形のパターンで現れ、広範に発生している場合は広範の裏側にも同様のパターンが現れるのが特徴です。

<品質影響について>
(1)黒点の元素分析結果概要
鉄の検出はなく、酸素が検出される。他の元素は良好部と比べ特に変化はない。即ち、表面が荒れ、その部分が僅かに酸化されているといえる。
(2)黒色部の断面顕微鏡観察結果
亜鉛層ではほとんど変化が認められない。

これらの結果で「アブレーション」の黒点は表面が酸化皮膜で覆われた表層の浅いキズであることが判ります。黒点の発生した部分でも亜鉛で覆われており、本来の耐食性能を有しています。

<対策について>
(1)コイルの巻きテンション及びシートを強く均等に行う。
(2)コイルの置場は緩衝材を敷く。
(3)製品の移動(ハンドリングの増加)を極力減少する。
(4)輸送業者への積荷方法の指導。
SPCC-SDのSDの英文名を知りたいので教えてください。
「S」=Skin pass mill =調質圧延(表示規格の場合は、調質圧延は標準調質を意味する)
「D」=Dull finish=ダル仕上げ

<調質圧延>
鋼板、特に冷延鋼板は冷間加工によって靱性が減少し強度が増大する性質があり、使用に適するよう材質を調整し靱性を増すようにする必要がある。このため鋼板を焼鈍し内部応力を除去したのち、結晶粒子を細かくするべく行われる軽い冷間圧延を調質圧延という。尚、調質圧延ロールの表面荒さを変えることにより、鋼板の表面粗さを管理している。

<ダル仕上げ>
調質圧延をすることにより、鋼板表面の粗さをダル仕上げとかブライト仕上げ(Brigth)となります。ちなみに、ダル仕上げは表面荒さが大きく、光沢面をもたない仕上げをいう。
弊社で作成するアメリカ向けカタログに材料表示がありますが、SPCCとSECCをアメリカ向けには何と表現すれば良いのか。
板厚表示でt1.2、t1.6をどのように表現したら良いのか。
<規格表示について>
アメリカでは基本的には、ASTM規格(American Society for Testing and Materials)で良いと思います。
JIS規定 ASTM規定
SPCC A366
SECC A591
※2000年にASTM規定の表示改定がありましたが未だその徹底がなされていないのが現状です。従って、上表のASTM規格で十分であると判断致します。

<板厚表示ついて>
t1.2、t1.6でも分かると思いますが、「Thickness 1.2mm」とするのがベターと考えます。
t1.2とするなら、「t=Thickness」と注釈を書いておく必要があると思います。
JSH270DはSPHDとどう違うのでしょうか?
270は?末尾のDは?
「JSH270D」「SPHD」とは・・・JFS(日本鉄鋼連盟規格)とJIS(日本工業規格)の違いです。
「270」=引っ張り強度
「末尾のD」=加工グレードで両規格とも同じ(D=Deep Drawn/絞り加工用)
SAFC590の意味
<SAFC590について>
(1)日本工業規格(JIS)=SPFC590
「SPFC」=Steel Plate Formability Cold(自動車用加工性冷間圧延抗張力鋼板)

(2)日本鉄鋼連盟規格(JFS)=JSC590R
※自動車用鋼材の為に設定されたので、単に自動車用規格とも呼ばれている

JFS=Japan iron and steel Federation Standard
「JSC590R」=JFC規格のSteel Cold(冷間圧延鋼板)、引張強度590N/mm2以上(60kg/mm2)、R:高降伏比(High-Yield Ratio)=YP÷TS
JSC270Eとは、冷延材、の深絞り用薄板材でしょうか?
JSC××は、JFS規格であると思うのですが、その、規格は公表されているのでしょうか、対応する、JIS規格とはどのようなものなのでしょうか
JSC270Eとは、冷延材の『絞り用』に相当するものと思われます。「深絞り用」はJSC270F(JIS SPCE)に相当するものと思われます。
この規格は、JFS規格です。JIS規格では「SPCD」に相当するものと考えられます。
JFS規格は社団法人日本鉄鋼連盟にて販売されています。例えば冷延材関係では「自動車用冷間圧延鋼板及び鋼帯、JFSA2001」で平成10年4月1日改定分で一冊3,900円でした。
規格 寸法 重量 めっき めっき
付着量
原板化学成分(%)
C 100 Si 100 Mn 100 P 1000 S 1000
SGCC*N-S-C-X 1.2x1219xC 8000 Z08 93 5 1 18 21 3
先日、ユーザーさんから「環境に対する取り組みとして、製品一個あたり有害物質がどれだけふくまれるか計算したいのでミルシートを」という問いあわせがありました。通常通り該当ミルシートを提出したのですが、硬さ等のスペックと違って、実際コイル一本、あるいは製品板一枚あたりに何kgという含有量を出したいとのことでした。
下記表より以下2点の読み取り方を教えて下さい。
(1)何に対する%なのか?めっきは含む?含まない?
(2)100、1000は何に対する値か?
<基本的な考え方について>
鉄鋼は化学的に純粋な鉄ではなく、鉄を主成分とし、ある種の成分を含んだ合金であると考えられる。この合金成分として、普通元素と特殊元素がある。

・普通元素:俗に5元素と言われている「C、Si、Mn、P、S」で、C、Mnは鉄鋼の性質上、欠くべからざる元素である。
・特殊元素:特殊な性質を与えるために、故意に加えた成分で、例えば「Ni、Cr、AI、Ti、Cu、Mo、Nb、V…」などである。

鉄鋼メーカーの発行するミルシートには、特別な要求がない限り、表の通り「5元素」の成分しか記載されない。

<ご質問の回答について>
(1)何に対する%なのか?めっきは含む?含まない?
表面処理層を除いた「鋼」そのものに含まれる成分の%です。表面処理鋼板の場合は、表面のめっき層を剥離除去してから成分分析をします。従って、めっきは含まれていません。

(2)100、1000は何に対する値か?
通常、ミルシートへの表示は、実際の成分%を表示するのではなく、C、Si、Mn、は100倍、P、Sは1000倍にした値を表示します。
【例】この表の場合の実際の成分分析結果の(%)は、「C=0.05%、Si=0.01%、Mn=0.18%、P=0.021%、S=0.003%」と言うことになります。
鉄鋼材料でJSC270Cといった表示が使われているのを見ました。これは、最近の表示方法ですか?
自動車用に用いられる鋼板は、その要求品質が高度化、多様化し、多くの規格が用意されていた。これらを集約し、標準化して、関係者が使いやすくすることを目的に1996年、鉄連規格として制定されたものです。従来は、JIS(日本工業規格)とか、各鉄鋼メーカー、各自動車メーカーごとに規格が制定されていたが、上記の趣旨で社団法人・日本鉄鋼連盟が規格制定者となり、原案作成協力者として、社団法人日本自動車工業会(各自動車メーカー)、鉄鋼連盟として各鉄鋼メーカーが参加して検討制定されたものです。
正式には、「日本鉄鋼連盟規格」といいます。
ちなみに「JSC270C」は、冷間圧延鋼板・引張強さ270N/mm2以上・鋼種グレードCクラスを表しています。
価格はどうやって設定されるのでしょうか。
<ひも付き販売>
(1)鉄鋼メーカーと個別ユーザーとの直接交渉によって決められる
(2)鉄鉱石・原料炭価格等のコスト変動・国際市場価格・需給状況等の価格改定基準に加え鉄鋼メーカーと個別ユーザーとの取引量・納入シェアー等も加味され設定される
(3)通常、年度初めから年間ないし半年契約

<店売り販売>
(1)鉄鋼メーカーが窓口となる商社に対して価格を提示
(2)鉄スクラップ価格などのコスト変動・競合する鋼材価格・需給状況等も影響され決められるケースが多い
(3)需給やコストの大幅な変動時は月ごとに価格の改定あり
ひも付き販売と店売り販売とは。
<ひも付き販売>
主として大口、または特定ユーザー対象の販売契約で自動車・造船・電気メーカー等の契約は殆どひも付き契約。商社経由で直ちにユーザーに納入される

<店売り販売>
中小ユーザーが販売先でメーカーから商品を仕入れた商社(問屋)がユーザーに直接販売しないで鋼材販売業者(特約店)を経由して販売する方法
「ミガキ」って何?
熱間圧延したホットスリットコイルを常温下で冷間圧延した鋼板
板厚が均一、表面が平滑で磨かれたような美しい光沢を持つ
ミガキ薄板、ミガキ鋼板、冷延薄板、冷延鋼板、冷間圧延鋼板等とも呼ばれている
「レイナナ」「コンマナナ」「テンロク」の違いは?
鉄鋼の寸法(厚・巾・長)はミリ(mm)で表示される
【例1】
0.6ミリ(mm)=「レイロク」「コンマロク」と一般的に呼ばれ使い分けている
1.6ミリ(mm)=「テンロク」

【例2】
0.8ミリ(mm)=「レイハチ」「コンマハチ」 1.8ミリ(mm)=「テンパチ」

ちなみに2.3ミリ(mm)は「ニイテンサン」、3.2ミリ(mm)は「サンテンニ」
歩留りとは?
現材料に対する製品の比率(加工時に製品として残ったものの原材料に対する割合)

【例】成品:鋼管、原材料:HC
対原材料(H.C)成品1級歩留=80%(95%×94.74%×94.44%×94.12%)
表
建設業界の鋼板に塗装を施す際の要点は?
塗装前処理を適正なものとすることで、各種薄鋼板への塗装は可能です。冷延鋼板及び熱延鋼板ではリン酸処理が、亜鉛メッキ鋼板ではリン酸亜鉛処理が一般的です。
鋼板強度が変わると適正溶接範囲はどうなりますか?
又、亜鉛メッキ鋼板を溶接する場合はどうなりますか?
鋼板強度が高いものは合金添加量が多いため、軟鋼の溶接適正範囲とは異なります。一般的には低電流側にシフトしますが、スポット溶接の電極の当たり具合も変化(通電面積が狭くなる方向)しますので、具体的なプレス部品にて適正範囲を探索することをお勧めします。
又、亜鉛メッキ鋼板でメッキ量が多い場合は、初期電流は低電流として亜鉛が溶解した後に高電流とし、鋼板そのものに通電させるなどの工夫が必要です。
黒皮と白皮って?金属の色の呼び方は?
鉄の業界では現品の色合いから、製品を色で使い分ける人もいる。

<熱延鋼板>
黒皮:未酸洗のもの、白皮:酸洗済みのもの

<冷延鋼板>
黒板:溶融亜鉛メッキ金前の母材、白板:溶融亜鉛メッキした後のもの

<ガス管>
黒管:透明の錆止めしただけのもの、白管:溶融亜鉛メッキした後のもの
金属の色の呼び方のいろいろ
昔の人は次の様に読んでいました。
こがね
黄金(金)
しろがね
白金(銀)
あかがね
赤金(銅)
くろがね
黒金(鉄)
あおがね
青金(鉛)
銅と他の金属との合金
スズとの合金を青銅(せいどう)
ニッケルとの合金を白銅(はくどう)
亜鉛との合金を黄銅(おうどう)または真鍮(しんちゅう)